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こころのインタビュー_高橋吏佳さん

こころのインタビュー_高橋吏佳さん

こころコンサルでは、様々な業界の第一線で活躍されている方々にインタビューさせて頂き、こころのケアにまつわる様々なエピソードを共有したいと考えています。

第1回目は、宮城県本吉郡南三陸町にある南三陸町社会福祉協議会で活動されている高橋吏佳さんにお話を伺いました。

震災からコロナ禍の現在まで、地域コミュニティのサポートに奔走された日々のお話と、様々な思いについて語って頂きました。

はじめに、南三陸町社会福祉協議会の活動について教えてください。

高橋さん:震災前の社会福祉協議会は地域の高齢者、障害者、生活困窮者という限定された方々を主な対象としていました。

基本的な姿勢は変わりませんが、あの震災を経験して、目の前の皆さん、地域の皆さんが全員被災者と言われる状況になった時、私たちがこれまで関わってきた以上の関係性が求められる様になり、やらなければいけないことも明確になってきました。

そのような中で、被災者支援に関わらせていただいていくと、やっぱり心に課題を抱える人、ちょっと問題抱えている人たちとの出会いもすごく多くなってきて、個々のそういった繋がりとか、課題に向き合うことも増えてきたんですね。

なるほど、震災を境に活動内容に変化が出てきたんですね。

高橋さん:はい、震災で南三陸町のコミュニティが崩壊したと言われる、そういった状況にも目を向けながら、個別支援と地域支援っていう部分を両輪でやっていける社協になろうという風に考えてやってきました。

今は職員も少なくはなっている状況なんですけれども、少なくても中身の濃いそんな組織になっていけたらなっていう思いを新たにしている今の状況なんですね。

その当時は、被災している人が被災者を支援する当事者性を持った関わりが生まれ、お互い気持ちが分かり合える部分が南三陸町の被災者支援事業の特徴だったと思います。

そして、難しいような相談がある際は、ちゃんと専門職に繋げばいいんだっていうことで、何も自分たちだけが背負うことではなく、「誰々さんが今こういうことで悩んでますよ」ということを、社協の正職員とか、町の職員や保健師さんにお伝えしてうまく繋ぎ合わせてました。

それだけでもだいぶ救われた人はいたのかなって思います。

「被災者でもある人が被災者を支える側に回る」というお話、とても印象的ですが、本当は社会福祉協議会の皆さんも支えが欲しかったのではと想像します。負担も色々あったと思いますが実際はどうだったのでしょうか?

高橋さん:色々ありましたね。

一方で被災者の思いがわかるっていう部分と、思いがわかるからこそ、余計辛かったり、そして、自分だって被災してるのにって思う事もありました。

例えば、言われたくない言葉を投げかけられたりっていうこともありましたし、でも、それは受け止めましたね。仕事だから、っていう一種の割り切りもあったし。

被災した地域の方々は震災直後の怒りのコントロールが難しい状態でした。

私もそうなんですけど、そういったコントロールできない感情を受け止めるのも、我々の役割だよっていうことを共通認識の中で業務を行っていました。

でもそれはちょっと辛いんですよ。

辛いは辛いんだけど、それをうまく受け流せる人もいれば、そうできない人もいるわけじゃないですか。

そのためにみやぎ心のケアセンターの職員の方に研修に来てもらって、個別のメンタルケアや相談を受けさせて頂いたり、あとスタッフ全員でワークショップを行ったり、何かしら皆さんのストレスが軽くなるような工夫はしてきました。

専門の方にお話を聞いてもらったり、ワークショップを行ったりというメンタルケアの対策は、職員の心を守るというところでは本当に効果があったみたいですね。

高橋さん:はい。それで本当に辛くなって離職したっていう人はいませんでした。

 

震災から10年が過ぎましたが、今現在まで、お話し頂いた日々繰り返されながら、あっという間な感じだったんでしょうか?

高橋さん:今振り返るとあっという間ですよね。

多分最初の4、5年は何してたんだろうなっていう感じで、とにかく目の前の人、目の前のことを困ってる人がいたら、その人をなんとかしようっていう、それしかなくて、全体的に広く物事を見るっていうことができてなかったかもしれないです。

 

高橋さんは昔から困っている人がいたら寄り添ってあげたくなる気持ちが強い方だったのですか?

高橋さん:お節介なんですよ。私も田舎育ちなので、そういうのってあるじゃないですか(笑)。

 

どんどん行くみたいな、そういう感じの性格ではあった、という事なんですかね?

高橋さん:そうかもしれないですね。

ただ、私たちが踏み込めるのはここまで、っていうところは大体あるので、それを本人がどこまで入って来て良いかっていうところは、個人によっても違うと思うので、そこの見極めはきっちりします。

 

なるほど、中にはこちら側の寄り添いを望まない方や、なかなか心を開かないような方もいらっしゃいますか?

高橋さん:それは今でもいらっしゃいますね。

ただ「何かあったら私たちいるよ」っていうことは常に発信してるんですよ。

普段は来なくてもいいし、用事がなければそれは良いけれども、困った時は、私たちの存在を思い出してねっていうことは、常に発信してますね。

 

具体的に、この発信とはどういう事を行っているのでしょうか?

高橋さん:公営住宅の場合、うちの職員が張り付いてます。

常駐しているので、見守りは結構他の市町よりも手厚いと思ってます。

あとは、自分たちだけじゃなくて、隣近所の皆さんにも「ちょっと気にかけててね」っていう、そういうお話はしています。

何か研修がある時は、職員だけが学ぶのではなくて、南三陸町は地域の住民の方も一緒に学んで頂くような、そういう研修会、講習会なんかを結構やってるんです。

みんなで同じ人の話を聞くっていうのは、同じ方向に向いて行けるからやっぱりいいですよね。

それは素晴らしいですね。
最近は新型コロナが蔓延してきて、社会福祉協議会の皆さんで行っているアプローチにも変化が出てきたのでしょうか?

高橋さん:はい、これまで人と関わること、集まることが最もいいんだよっていう風に推進してきた我々にとっては、まさに逆行するような感じでした。

ただ、このコロナの状況をマイナスに捉えないで、コロナ禍でもできることを考えましょう、ということをスタッフみんなで話し合って色々なアイディアを出して、実践して来ました。

それぞれが集まらなくても自宅でできるワークショップなんかもあるんじゃないかとか、会えなくても心が繋がってるよね、という事が実感できる様な、同じ目的を持ってアクション出来るような取り組みを行いました。

例えば、不健康にならないように散歩してもらう目的で、「四つ葉のクローバーを見つけてきてください、それを私たちが受けってしおりにして、押し花にして返します」、というイベントを企画して、それぞれが不安にならない様にと最初の1年間は工夫しながら色々続けてきましたね。

何者なのかわからなかったコロナだったので、その1年間は本当に手探りだったんですけど、とにかく動きは止めちゃダメだと。

行政からは「何やってんの」って思われるところはあったかもしれないんですが、ちょっとギリギリのところで頑張ってやっていた、というのはありましたね。

お話しを聞いていると、スタッフの皆さんがこんなんだったらいいんじゃない、こんなんだったらできるよねっていうアイデア出しが上手ですよね。
工夫して、やれることはまずやってみようってことですよね。

高橋さん:そうですね、コロナ禍になる前は、皆さんを訪問しては変わりないですか?とか声掛けしてきたんですけど、コロナになって、少し抑え気味にしたんですね。

積極的に行くのではなくて、ほんとに気掛かりの人だけにしようって。

例えば、訪問はちょっと控えて電話とかにしましょうっていう風にはしてたんです。

そしたら、逆に地域の住民の方が集会所に来るようになったんですよ。

今まで例えば100件訪問してたとして、3倍の300人ぐらい集会所の方に住民さんが来るようになって。

それだけ皆さん、不安だったり、人恋しかったり、悩んでたりしたんだなっていうのは、もう数字を見てわかりましたね。

これまでお話を伺って、高橋さんが頑張られているその気持ちのモチベーションになってるのは、何があるのでしょうか?

高橋さん:多分この仕事が好きなんだなっていうのはありますね。

もう根っから好きなんだっていうのと、あと、震災があって、生きたかった人たちのためにも、なんかおこがましいんですけど、自分ができることはしなきゃなっていうのはありますね。

あと、社会福祉協議会のスタッフとの関係も、ここで頑張れてるモチベーションになってるような気がします。

やっぱり何の仕事だって1人でできるわけじゃないし、こうやってスタッフがいて、チームがあってやれてるので、自分だけが頑張ったって無理ですから。

 

 

私たちは、こころのケアをもっと身近な存在にしたい、広めて行きたいという思いでこころコンサルを始めました。こころのケアに関する事で、社会福祉協議会の活動を含めこうなった方がいいんじゃないかとか、高橋さんが日々感じてるようなことが何かあれば教えてください。

高橋さん:国も言っている地域共生社会っていう部分に繋がってくるのかなと思うんですけど、行政とか制度に頼らずに、自分たちで日頃からできるこころのケアはしていくべきだと思います。

そのために、南三陸町社会福祉協議会で言えば結の里(カフェ)も利用してもらいたいし、深刻になってからの相談じゃなくて、普段から話し合える、そういう居場所があれば、大なり小なりは発散できると思っています。

あとは、普段からの関わりと繋がりが大事、それに尽きると思います。

どうしても相談者と受ける側って、立場的に上下関係が生まれてしまうので、普段の対話の中でちゃんとお互いが理解される関係を築く、そういう支援が続けて行けたら良いのかなっていう風には思うんです。

なにか起きてからでは遅いので、そうなる前から普段の繋がりがどうあるべきかっていうことが大事だと思いますね。

 

 

Proflie
高橋 吏佳(たかはし りか)

☆現職
▫︎南三陸町社会福祉協議会
 地域福祉係長兼結の里管理者
☆資格
▫︎社会福祉士
▫︎精神保健福祉士
☆その他
▫︎社協在職30年
▫︎1972/5/18生まれ O型
▫︎家族は義母、長男、二男、長女
 今は義母と2人暮らし
▫︎現在心理学を専攻し大学在学中

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